doi_iku’s blog

LINEブログから引っ越しました。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「象徴」と立憲主義㊦

歴史のことば劇場㉒「象徴」と立憲主義(下)GHQによる憲法の「象徴」条文の起草者は、ウォルター・バジョットの『英国憲政論』を参照し、当時、世界の古典版にあったバルフォアによる巻頭解説には、「わが国王は、その皇統と職務により、わが国民の歴史…

「象徴」と立憲主義㊤

歴史のことば劇場㉑「象徴」と立憲主義(上) 天皇陛下が、即位の礼において、上皇陛下が「その御心を御自身のお姿でお示しになってきたことに改めて深く思いを致し…国民に寄り添いながら、憲法にのっとり…象徴としてのつとめを果たすことを誓います」と述べ…

八月革命説を超えるもの

歴史のことば劇場⑳▼八月革命説が通説でなくなる日 「即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」(平成28年8月8日「象徴としてのお勤めについてのおことば」)こう…

世界遺産・前方後円墳と三種の神器

歴史のことば劇場⑲ 世界遺産・前方後円墳と三種の神器 世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群の仁徳天皇陵(大阪府堺市)は、世界の巨大建造物の中でも最大級の規模を誇り、総工期は15年8カ月、延べ680万超の人員を要したと推計されています(大林組…

「あまちゃん」ならぬ「海女さん」に歴史あり

▼「地元」と出会って、自分を取り戻す 平成25年度、NHKの朝ドラ「あまちゃん」は、最高視聴率が27%を超えていたそうで、最近でも「朝ドラに革命おこしたヒロイン」の1位に選ばれていました。たしかに、主人公の天野アキ(主演・能年玲奈)は、一風変わった…

男系継承と法の支配、自生的秩序

歴史のことば劇場⑱ ▼男系継承は、法の支配と自生的秩序の典型例 君主は伝統を守る存在であり、政治は歴史を教師とすべき言われますが、古代の律令法には、皇位継承に関する規定は存在しません。 その理由の一つに、「非常の断(だん)、人主(しゅ)これを専(も…

伝統は、未知なるものへの適応を果たす

歴史のことば劇場⑱ 男系継承は、法の支配と自生的秩序の典型例 君主は伝統を守る存在であり、政治は歴史を教師とすべき言われますが、古代の律令法には、皇位継承に関する規定は存在しません。 その理由の一つに、「非常(ひじょう)の断(だん)、人主(しゅ)こ…

"巧まざる"日米のコモンウェルス

新しい国史への招待40日米の“巧まざる”認識の一致▼ケナンの歴史認識韓国への輸出規制をめぐって「日本は侵略国」「植民地犯罪を謝罪しろ」などと韓国大学生らが騒いでいると報道されています。またか、とウンザリしますが、彼らは戦後の自由世界の基礎を築い…

「国民の総意」を導き出した歴史慣習

歴史のことば劇場⑰▼「国民の総意」を導き出した歴史慣習 歴史学者による新刊『皇位継承』(吉川弘文館)を読むと、その序には「今回の代替わりで二〇二年ぶりに『復活』する譲位は…」「二一世紀になって復活することになった」(高橋典幸)などとあります。…

譲位とは男系継承の儀礼化

新しい国史への招待48▼最上位の法としての宣命 皇位継承や皇嗣の選定には、古来、どのような原則や考え方があったのでしょうか。研究史によれば、大化改新以前では、天皇が任意に選定したとする選定説(中田薫)、天皇が神意によって卜定(ぼくじょう)したと…

危機から生じた保守的自由主義

新しい国史への招待47▼危機から生じた保守的自由主義の系譜近時、四十数年ぶりに中村隆英(たかふさ)(東大名誉教授・故人)の『日本の統制経済』が文庫で復刊されました。なんで今ごろ? 統制待望論がどこかで流行ってるの?と怪訝な気分になりますが、同書…

麻薬と開国

歴史のことば劇場⑯▼最良の知性と自由社会をもたらす「大義」 近頃の著名人の逮捕で、麻薬犯罪への対処のあり方が議論されていますが、歴史的に見れば、幕末のアヘン戦争の頃でも、日本と清(中国)では、アヘンへの対応は全く違っていました。林則徐らの奮闘も…

我が終わりに我が始めあり……

「私たちフランス人は、神を殺し、王を殺した…」 昭和天皇の御不例に際して、精神病理学者フィリップ・ガタリは、こう述べたといいます。 「そして皇帝を追放し、もう一人の皇帝をも倒した。更には人民戦線の神を殺し、共産主義の神を殺し、実存主義の神をも…

象徴天皇制の「静かなる決意」

▼象徴天皇制の歴史的なる精神—I must become emperor— 昨年(平成30年)2月、皇太子殿下は御誕生日に先立つ会見で「後奈良天皇」の逸話を語られた。 戦国期の十六世紀半ば、洪水等による飢饉や疫病に心を痛められた天皇は、苦しむ人々のため、諸国の社寺に…

これからの言論や学問のあり方とは

朝日新聞3月29日付に「天皇の意思で退位 憲法が直面した最大の問題だ」とする、三谷太一郎氏(東大名誉教授、元宮内庁参与)のインタビュー記事がありました。それによると、2010年7月の参与会議で天皇が退位について話されたそうで、「非常に大きな衝…

天皇の意思にもとづく「再生と継続」の祭儀

新元号は「令和」に決まりましたが、かつて昭和も終わりの近づいた頃(つまり昭和天皇の重病が連日報じられた頃)、「私たちフランス人は、神を殺し、王を殺した…」と、精神分析家フェリックス・ガタリは、語りました。「そして皇帝を追放し…共産主義の神を殺…

「父祖の遺風、香気」の寛容さ

歴史のことば劇場⑭ 「父祖の遺風」「香気」としての寛容さ 江戸時代、日本で初めて合理的な歴史学を打ち出した新井白石は、自叙伝『折たく柴の記』において、先祖や父、自らの幼年のことなどをもっぱら聞き伝えや記憶によって書きました。そこでは祖父母の剛…

追補:《日本人になった》帰化人🌠📕📚

以前、すでに書きましたが、帰化人は差別的な用語だとか、渡来人が正しいとかの意見は、学問的には今では少数派になりつつあります。また、「彼らのした仕事は日本人としてした仕事である」(関晃)と言われるように、帰化人とは《日本人になった》人たちのこ…

ウーン、また中途で切れてしまった❔

スイマセン❗何故だか写真を挿入すると、本文が途中で切れてしまうので、写真を外して、以下に再度掲載いたします。_(._.)_(´-ω-)人人は「見た目」か?名著に見る幸せのカタチ ▼なぜか「美人排斥」「不美人成功」論 一昨年(平成29)、『人は見た目が100パ…

人は見た目かー名著に見る「シアワセの形」

▼なぜか「美人排斥」「不美人成功」論 一昨年(平成29)、『人は見た目が100パーセント』というTⅤドラマが話題になり、それ以前に、平成17年に『人は見た目が9割』(竹内一郎)という本がベストセラーになったこともありました。 ああ、人は外見か、やっぱ…

《日本人》になった帰化人

歴史のことば劇場⑬ 《日本人》になった帰化人 外国人労働者の話題がよく世間を騒がせますが、日本史上、最も高い比率で外国人が入ったであろう時代は、古代のようです。平安初期の『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』では、中央の氏族を「皇別(こうべつ)」…

国境・国土観の変遷と歴史的感覚(ヒストリカルセンス)

▼龍の棲む日本の境界 毎年二月七日は「北方領土の日」(昭和五六年閣議決定)、二月二二日は「竹島の日」(島根県の平成十七年の条例)であり、外国による不法占拠が未だ続いていることを記憶するとともに、領土返還運動を一層推進する日となっています。 そ…

国土・国境観に見る「歴史的感覚(ヒストリカルセンス)」

スイマセン⤵また削除できませんでした⤵⤵何故❔❔▼龍の棲む「日本の境界」 毎年二月七日は「北方領土の日」(昭和五六年閣議決定)、二月二二日は「竹島の日」(島根県の平成十七年の条例)であり、外国による不法占拠が未だ続いていることを記憶するとともに、…

宮廷和歌の持つ実力……👑

和歌は、本来は、文字で読むというよりも、 声を聴くものであり、儀礼や宴席などの共同の場で披露され、 皆で同じ歌を聴いて、全身で感じて、 唱和するいわば共同体の文学であった。 それは、近代文学のような個人の感情や思想を訴える表現と異なり、 宮廷を…

宮中歌会始ー現代の勅撰集

▼王朝和歌がつくった日本文化 和歌は、「王朝和歌」との言葉もあるように、そもそも宮廷のものであり、『古今集』の仮名序には、日本の神話の天地開闢やイザナギ・イザナミの皇祖神の言葉のなかに和歌の原型があると記されています。 古今集をはじめ勅撰和歌…

歌会始ー現代の勅撰集

スイマセン、また何故だか削除できないので、次の欄に再掲載します⤵⤵⤵⤵▼王朝和歌がつくった日本文化和歌は、「王朝和歌」との言葉もあるように、そもそも宮廷のものであり、『古今集』の仮名序には、日本の神話の天地開闢やイザナギ・イザナミの皇祖神の言葉…