doi_iku’s blog

LINEブログから引っ越しました。

2020-01-01から1年間の記事一覧

みことのりと王朝儀礼

歴史のことば劇場34 先日行われた立皇嗣の礼は、勅使発遣に始まり、立皇嗣宣明の儀と壺切御剣の親授が儀礼のクライマックスであったように、皇嗣は天皇陛下のお言葉にしたがって正式に誕生するという次第となっていました。こうした「宣明」という内外への宣…

中国批判の歴史的な起源について

歴史のことば劇場33日本の皇室が世界から驚きのまなざしを向けられるようになるのは、十世紀の頃までさかのぼります。『宋史』日本伝によれば、宋に渡った東大寺の僧奝然(ちょうねん)は、第二代皇帝太宗(たいそう)に謁見し(984)、日本の律令や王年代記、考…

自由と平和の「歴史認識」

歴史のことば劇場32 日本国憲法第九条の起源とされる不戦条約(1928)は、徹底した戦争放棄までは要求しておらず、国の交戦権や自衛権を自明の前提としていました。また九条第一項が「国権の発動たる戦争」や「武力」のすべてを放棄するのでなく、わざわざ「…

「包みの文化」の贈与論

歴史のことば劇場31🔻風呂敷包みと「魂の贈与」 レジ袋の有料化で“風呂敷エコバッグ”が注目されているそうですが、風呂敷は、手軽で古風なエコというばかりでなく、本来は、着物や帯の色柄と調和し、服装を引き立たせる役割もあり、意外に現代人のセンスに、風…

世論は自由の伝統に守られる

(※前回の改稿です) 昨今の国家安全維持法の成立で「香港の自由は死ぬ」そうですが、不思議なのは、かつてアヘン戦争に敗れて植民地となった香港に、なぜ「自由」があったのでしょうか。それは思うに、1843年、香港の初代総督に就任したアイルランド人のハリ…

戦後の基点にある「古来の自由」

歴史のことば劇場30 国家安全維持法の制定で「香港の自由は死ぬ」と言われますが、アヘン戦争で植民地となった香港になぜ「自由」があるのかと考えると、香港には初代総督H・ポッティンジャー卿以来、関税を拒否する自由貿易の方針がありました。また政策的…

壁の文化と床の文化

歴史のことば劇場29 新型コロナウィルスによる死亡率が、アジア諸国や日本はきわめて低率で、なかでも日本は、ロックダウン(都市封鎖)も行わず、外出制限に罰則もない「非常にゆるい対策」で感染を防止したといわれます。西欧の都市は、通常、石造や煉瓦造…

「マサシキ御ユヅリ」の男系継承

歴史のことば劇場28「古来の常識」にもとづく男系継承 ネット上の女性週刊誌の記事を見ていると、世論調査では、皇位の女系継承への賛成が合計85%にも達しているのに、いぜん男系継承にこだわり、皇室典範改正の議論を進めない安倍政権は、皇室を「存続の危…

コロナによる「死」と日本人の霊魂

歴史のことば劇場27🔻死の尊厳と霊魂 先日、志村けん氏が入院先で新型コロナウィルスによる肺炎で亡くなった際、親族の誰ひとり臨終を看取れず、火葬なども防護服の職員が行ったとされ、遺骨だけが渡されたとの報道がありました。やむを得ない処置とはいえ、現…

人種偏見に負けない「人の心の勝利」

歴史のことば劇場26 ◎差別・偏見に抗する「人の心の勝利」 以前、アジア人を「コロナ」呼ばわりする差別や偏見が話題になりましたが、パンデミックの中心地はすでに欧米の側に移ったそうです。情報社会では人々の考え方は急速に変化しますが、かつて数百年に…

自由・平等は「古来の権利」にもとづく

歴史のことば劇場25自由・平等は、歴史伝統にもとづくお雇い外国人グリフィスは、著書『ミカド』において、幕末の松平春嶽と横井小楠の関係を、米国初代大統領ワシントンと副官ハミルトンの関係になぞらえ、小楠が京都の新政府の会議で、信教の自由のみなら…

「Aといふ男」の話~象徴伝統継承説について~

尾張徳川家の第21代当主で、 徳川美術館・館長だった徳川義宣(1933~2005)には、 幼稚園以来の旧友で、生物学や歴史に詳しい「Aといふ男」がいました。 Aは、美術史の某先生から中国絵画の個人講義を受けていたが、 あるとき、南宋の毛松筆の重要文化財…

歌会始の「歌徳」と国民統合

歴史のことば劇場23歌会始にみる「歌徳」の伝統「歌会始と講書始(※ご進講)は極めて大事」(上皇陛下)とされますが、一般的に歌会始は、室町後期の歌御会始(うたごかいはじめ)(1503)から定着し、現在のような、貴人以外の一般人による詠進(えいしん)は、…