doi_iku’s blog

LINEブログから引っ越しました。

2023-01-01から1年間の記事一覧

日本的な「自由」の歴史的な由来

歴史のことば劇場70 “日本人は水と安全はタダだと思っている” とは、イザヤ・ベンダサン(山本七平)『日本人とユダヤ人』(1970)の有名な文句ですが、 同書は「日本人は常に自由であった」から「水と安全は無料と思っている」と述べています。 いわく、ユダ…

「文明」としての源氏物語

歴史のことば劇場69 一九二・三〇年代、A・ウェイリーによって源氏物語が英訳され、当時の西欧の文学好きは、同時期に英訳されたプルースト『失われた時を求めて』とともに源氏を愛読したそうです。 彼らにとって、源氏を読むことはプルーストを読むのと同じ…

「日本的心情」の驚くべき効用

歴史のことば劇場68 「日本的心情」の驚くべき効用 『ライシャワー自伝』(徳岡孝夫訳、1987)によれば、1962年2月、駐日大使としてロバート・ケネディ司法長官の訪日に関った際、 「ロバートに請うて15分間を二人だけで過ごし…沖縄の自治と将来の返還を早め…

自由世界の「普遍的な結束」とは

歴史のことば劇場67 自由世界の「普遍的な結束」 「頭を金髪に染めても、鼻を高くしても(我々アジア人は)決して西洋人になれない」 先日、中国外交のトップが人種差別的な発言をして物議を醸したそうですが、 起源的に日米同盟は1946年6月末、米国国務省政…

高度成長は「自然発生的な協力」の成果

歴史のことば劇場66 報道によれば、ウクライナの復興へ向けた議論が早くも始まり、日本にも期待が寄せられているそうです。 先の大戦の敗戦により、日本経済の受けた損害は甚大でしたが、しかし残存する資本ストックは意外にも大きく、特に重化学工業設備は…

自由世界の「精神に明記された」相互主義

歴史のことば劇場65 自由世界の「精神に明記された」相互主義 G7広島サミットやグローバルサウスとの会合は成功裡に終ったようですが、中国は日本を「西側の少数国と結託して内政干渉を行う」などと批判しました。 いぜん自由世界の国際秩序を受け入れず、…

民主主義は偉人を創り出す

先日、在外中国人の言動を取り締まる「中国秘密警察」の拠点が日本にも二か所あり、彼らを抑圧していると報じられました。中国政府は当事国の主権を無視して言論を封殺し、共産党批判など存在しないかのように装っているようです。 かつてケインズは、株式投…

歴史と自由の命運

歴史のことば劇場63 インドが中国を抜いて人口世界一となり、さらなる経済成長が予想されますが、 かつて経済学者フリードマン夫妻は、19世紀の明治日本と20世紀のインドでは「自由市場」の思想を選ぶのか「計画経済」の思想を選ぶかで、明暗が分かれたとの…

武士道より愛された『武士の娘』

歴史のことば劇場62 武士道を世界に紹介した著作は、新渡戸稲造の本が有名ですが、 より幅広い層に愛されたと思われる本に、杉本鉞子『武士の娘』があります。米国で1925年に刊行されて評判となり、ルース・ベネディクト『菊と刀』(1946)にも何度も引用さ…

現代の「戦争と平和」

歴史のことば劇場61 昨年9月、ショルツ独首相は国連総会で、ロシアのウクライナ侵攻について「帝国主義以外の言葉は見つからない。帝国主義や植民地主義とは対極にある世界平和への災いだ」と批判したと報じられました。マルクス主義の影響がいぜん残る歴史…

「魂なき機械」の言葉を排す

歴史のことば劇場60 岸田首相の防衛費への増税方針に対して「あまりに唐突」「拙劣」等々の批判が各界から噴出し、 なかには「景気回復に水を差す」「日本の財政規模を超える」「米国が喜ぶだけ」とか、 中・露・朝の露骨な軍事的脅威に対峙する自由世界の国…

歌会始と国民統合

歴史のことば劇場59 歌会始は、室町後期、後柏原天皇の歌御会始(うたごかいはじめ、1503)から定着し、現在のような貴人以外の一般からの詠進(えいしん)は、明治7年(1874)に始まったとされます。このため、今の歌会始は、明治になって「創られた伝統」で…