doi_iku’s blog

LINEブログから引っ越しました。

これからの言論や学問のあり方とは


KIMG0594.JPG
朝日新聞3月29日付に
天皇の意思で退位 憲法が直面した最大の問題だ」とする、
三谷太一郎氏(東大名誉教授、元宮内庁参与)のインタビュー記事がありました。
それによると、
2010年7月の参与会議で
天皇が退位について話されたそうで、
「非常に大きな衝撃……憲法が直面した最大の問題と考えた」。
また「政治家も学者もまったく予想しなかった」
その後、「保守派もリベラルも否定的」だった
とも。
そして、
憲法の「国民の総意」を持ち出し、国民の総意とは「ルソーの一般意思に近い」とか。
しかしながら、
「総意」を持ち出すのは奇妙でしょう。
「大きな衝撃」とか「政治家も学者もまったく予想しなかった」
「保守派もリベラルも否定的」なのに、
なんで「国民の総意」で説明ができるのか?
誰も予想しないことが、
どうして「国民の総意」になるのか❔
しかも
ルソーの一般意思って、
日本国憲法英米法を学んだGHQのメンバーによる「立憲君主制」(民政局によるマッカーサーへの趣旨説明)の憲法であり、
著名な憲法学者の清宮四郎も
一般意思説に否定的だったのは周知の話なのに、
いくらインタビュー記事とはいえ、
もはや論理矛盾というよりも
むしろ支離滅裂に見えますが、
要するに、
彼らの理解や考え方では、
天皇の意思や譲位はうまく説明できないようです。
だいいち
当時、天皇が「譲位」ではなく
「退位」と自ら称された可能性は、
その後の皇族方の御発言からしても、
まず考えられません。

むしろ、こうした
「政治家も学者もまったく予想しなかった」
「保守派もリベラルも否定的」な事態について、
なるべくスジを通して、
過去の学説や思想、
あるいは伝統をよくふまえた
考え方や論理を示していくのが、
これからの言論や学問のあり方
といえるのではないでしょうか?

ちなみに、
「衝撃」だったとかいう参与会議の2年後には、
日本史の概説書、『天皇の歴史』や『岩波講座』古代で、
譲位の問題の重要性が
すでに認識されてました
(そこでは土井が20年以上前に書いた譲位に関する論文も、
何回か引用され、
参考文献に上がっていた❗)。

それゆえ、
よく周囲を見て、じっくり考えて、
色々感じていたならば、
「まったく予想しなかった」とか
「保守派もリベラルも否定的」といったような、
奇妙な事態には
いたならなかったはず
ではないでしょうか?
IMG_6rvry7.jpgKIMG0600.JPGKIMG0601.JPG
KIMG0599.JPG
KIMG0597.JPGKIMG0591.JPG
KIMG0592.JPG
KIMG0586.JPG