doi_iku’s blog

LINEブログから引っ越しました。

宮廷和歌の持つ実力……👑


KIMG0493.JPG

和歌は、本来は、
文字で読むというよりも、

声を聴くものであり、

儀礼や宴席などの

共同の場で披露され、

皆で同じ歌を聴いて、

全身で感じて、

唱和する

いわば共同体の文学であった。

それは、

近代文学のような

個人の感情や思想を訴える表現と異なり、

宮廷を中心とする

場の文化であるとともに、

他者との交感や共感を

身心に受け入れるものでした。

そうした

自分ではない、

他者の声をじっくり聞くということは、

「自―他、内―外、

能動―受動という区別を超えた

相互浸透的な場に触れる経験」であり、

介護のケアの現場では、

いわゆる「聴き取り」とは、

相手と呼吸を合わせることから始まる

といいます(鷲田清一『「聴く」ことの力』)。

KIMG0522.JPG
 

「《私のいうことを聞いてください》というのは、

《私に触れてください、

私の存在することを知ってください》ということだ」

と述べた(『第三の意味』)。

古来、

天皇が国家を統治することを

「聞し召す」

と日本語で表現します。

それはまさに

「聞く」の尊敬語であり、

天皇は、歌会始などの和歌を聞くことを通して、

癒し切れない、人々の痛みや苦しみ、

思いを「聴き取って」いた、

国民との間で「呼吸を合わせ」、

「触れて」、

その「存在を知って」きた

と考えてよいようです。

そうした、

他者の思いを「聴き取り」、

「呼吸を合わせ」、「触れて」、

「その存在を知る」ことこそが、

本来の和歌の持つ「伝統の力」であり、

歌会始などに見る「歌徳」の力、

真の国民統合に向けた

「高次の和俗」の形成をもたらした

といえるのではないでしょうか。

KIMG0506.JPG

KIMG0492.JPG
KIMG0493.JPG
KIMG0512.JPG
KIMG0492.JPG
KIMG0511.JPG