doi_iku’s blog

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女子高生(JK)文化✴とスマホの開発💡📶📞📲📱📳


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歴史のことば劇場⑤

▼現代の「革命」「創造的破壊」とは

二〇〇〇年代の初頭、
シリコンバレーの『WIREⅮ』誌では「日本の女子高生ウォッチ」なるコラムが人気を博し、
欧米の技術系ジャーナリストやアナリストは、
日本詣でに勤しみました。
彼らにとって
高機能で複雑なガラケーを使いこなす女子高生(JK)は、
将来の世界を先取りしており、
その姿はiPhoneの未来を
予見させたといいます(英・エコノミスト編『2050年の技術』)。

日本の通信産業は、
閉鎖的で、独占的、
単に国内市場が大きいがために、
他国のシステムとの互換性を考えずに、
独自開発に突き進んだといわれます。
ガラパゴス」と揶揄されるゆえんですが、
しかし、十数年前、
スマホの将来を予感した米国人は、
そのガラケーを駆使するJKの姿に「明日の世界」を見ていた。
いまに、
世界中のだれもが、
日本の女子高生のように
高性能カメラ、音楽、ゲーム、アプリなどを
たった一個の端末で、
いつでも自由自在に
楽しむ時代が来ると考えた。

新たなトレンドを探る人は
「エッジケース(限界的事例)」
すなわち世界に広く普及する前に、
特定の集団だけに広がる
先進的現象に注目します。
日本のガラケー
「そのわかりやすい例」であり、
JK文化には
「誰も気づいていない、細かな違いや意味を見つけ出していく」
発想があった。
大量の商品が行き交う中でも、
わずかな差異の持つ価値を楽しむ態度が、
戦前の女学生文化以来、
ファッションから音楽の嗜好に至るまで
通底していた(『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』)。
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考えてみれば、
「すべてをシンプルに…とてもシンプルに」(S・ジョブズ
との簡素化一辺倒のシリコンバレー的な発想から、
多機能性のスマホが生まれた
というのも奇妙な話でした。
実際は、
ガラケーを使い倒す
最末端のJK文化的な
微細な思考が
大いに貢献していた。
IT企業のⅭEOといえば
絶対君主のごとき権力者のように言われますが、
いまや大企業も
競争相手に対して明らかに脆弱化し、
顧客の感情の微妙な変化に
戦々兢々としていると言います(Ⅿ・リドレー)。
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彼らが夜も寝られぬ思いをする競争とは、
ライバルが価格を下げることではなくて、
自社製品を時代遅れにする起業家の革新(イノベーション)だ
と指摘したのは、
経済学者のシュンペーターでした。
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彼はそれを
「創造的破壊」と呼びましたが、
かかる「革新」を引き起こす要因は、
いまや
天才の発明や国家的計画というよりも
JK文化のような
卑近な趣向に始まり、
何の権力も陰謀も使わず、
声高にデモに訴えるでもなく、
いつの間にか
社会を彼女達にとって好ましい世界へと変化させました。
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かつて思想家や哲学者は、
革命は
バリケードや暴動、
権力の謀略などから生まれると言った。
けれども
彼らは弱者や労働者を守ると言いながら、そのじつ
IT長者を封建領主のごとく見る旧思考と同様、
下から湧き上がる自然発生的な「創造的破壊」の影響力を
あまりにも過小評価していた。
もはや
かつての闘争的で喧噪的、
高圧的で、決定論的な思考では
「エッジケース」のもたらす
明日の世界は見えてこない
ということを、
スマホは我々に日々、
教えているのではないでしょうか。
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